だ液腺染色体の観察
双翅類の昆虫のだ液腺染色体(だ腺染色体)を観察し、その特徴を調べる。
はじめに
- ユスリカやキイロショウジョウバエなどの双翅類の幼虫のだ液腺では、複製を繰り返した染色体が分離せずに束になっていて、普通の染色体と比べ太く凝集したひも状の染色体が観察できる。これを「だ液腺染色体」とか「だ腺染色体」とよぶ。ここでは、釣り具店などで入手しやすいアカムシ(ユスリカの幼虫)を使って実験をやってみよう。
アカムシについて
- ユスリカの幼虫のうち赤いものをアカムシと呼ぶ。市販されているものは、オオユスリカ(2n=6)やアカムシユスリカ(2n=6)で、U字溝などの泥にいるものはセスジユスリカ(2n=8)である。
方法
- アカムシをスライドガラスにのせ、体の5節目あたりを柄付き針で押さえ、頭をピンセットでつまんで引っ張る。
- 消化管や脂肪体を除き、だ液腺だけを取り出す。(だ液腺は透明で、お菓子のグミのようにぷよぷよしている)
- 酢酸オルセインを1滴落とし、5分ほどおく。
- カバーガラスををかけた上にろ紙をのせ、その上から親指の腹で押しつぶす。このとき、カバーガラスが横ずれしないように注意する。
- 顕微鏡で観察し、だ液腺染色体をスケッチする。
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観察結果(600倍)
考察
- だ液腺染色体の特徴をあげてみよう
だ液腺染色体は、分裂期でなくても太く凝集していて、相同染色体が対合している。そのため、その本数は半分のn本である。また、染色体が膨らんでしま模様がわかりにくくなっている部分をパフと呼ぶ。