光合成色素の分離
植物に含まれている色素にはどんなものがあるのか。クロマトグラフィーによって分離される色素を調べる。
準備
- 植物:ツバキ、カイヅカイブキ、ヨモギ、ヤブカラシ、ススキ、カタバミ、クローバー
- 薄層クロマトグラフィー用プラスチックシート(TLCシート) *参考
- 抽出溶媒(アセトン)、展開溶媒(石油エーテル:アセトン=6:4)
- ポリエチレンチューブ毛細管
方法
- 材料を細かくちぎり、乳鉢に入れ、抽出溶媒を少量加えて乳鉢で擦り潰す。
- TLCシートの一端を 2cm の所に鉛筆で原線を引く。
- もう一方の端から 1cm の所には、前線を引く。
- 抽出溶媒を毛細管で取り、原線の一点に少しずつ染み込ませる。乾いたら同様に数回染み込ませ、スポットを濃くする。(スポットの大きさは 5mm 程度)

- 展開溶媒を 1cm 程度入れた試験管にTLCシートをピンセットを使ってそっと入れ、ゴム栓をして展開液の上昇を待つ。(およそ10~15分)

- 展開液が鉛筆で引いた前線に達したら、ピンセットでTLCシートを取り出す。
- 色素の色が消えないうちに、鉛筆で色素の色と位置をマークし、原線からの距離を測定する。
- Rf値を計算し、色素が何なのか考察する。
※抽出溶媒、展開溶媒は揮発性が強く有害である。吸引しないようにすること。
結果
いろいろな植物の色素。 |
|
 |
色素名は上から、
- カロテン(橙黄)
- クロロフィルa(青緑)
- クロロフィルb(黄緑)
- キサントフィル(黄)
|
考察
- Rf値の求め方(Rf:Rate of flow)
4つの色素の移動距離をそれぞれa1、a2、a3、a4
とする。
また、展開液の移動距離(原線-前線の間)をbとして、各色素のRf値を計算してみよう。
クロロフィルaの場合→
色素の移動距離a[cm]
Rf=----------------------
展開液の移動距離b[cm]
- 表にまとめよう。
例
色 |
色素名 |
aの値(cm) |
bの値(cm) |
Rf値 |
橙黄 |
カロテン |
6.5 |
7.0 |
0.93 |
青緑 |
クロロフィルa |
4.2 |
7.0 |
0.60 |
黄緑 |
クロロフィルb |
3.8 |
7.0 |
0.54 |
黄 |
キサントフィル |
3.5 |
7.0 |
0.50 |
参考
薄層クロマトグラフィーはTLCと略され,シリカゲル・アルミナ・セルロースなどの微粉末を薄い層にしてプラスチックなどの平板に塗布したものです。展開溶媒が毛管現象によって上昇していくと,試料もそれに伴って上昇しますが,色素がその種類によってシリカゲルに吸着する程度が異なることによって展開されます。
従来からよく使われているペーパークロマトグラフィーは,吸着されるのではなく「ろ紙の網目にひっかかる」というような原理で展開されます。ペーパーに吸着された水と展開溶媒(有機溶媒)に対する溶解度の差によって上昇速度が異なり,水に溶けにくい色素は上昇が速く,水に溶けやすい色素は上昇が遅い,ということになります。
また,TLCはペーパークロマトグラフィーに比べ展開に要する時間が短く,分離能にすぐれ,試料が少量でよいなどの利点があり,最近はより多く使われているようです。
カロテン ⇒ キサントフィル類 ⇒ クロロフィルa ⇒ クロロフィルb の順になるので注意して下さい。