摩擦力
目的
- 垂直抗力と摩擦力の関係(F=μN)について調べ、摩擦係数を求める。また、接触面積と摩擦力の関係について知る。
準備
- 木片、おもり(100g×4個)、プラスチック板(下敷きなど)、雑巾

方法
実験1.最大摩擦力F0(滑り出す瞬間のはかりの読み)の測定
ア.下敷きの上に、木片のA面を下にして置く。
イ.下敷きの上に、木片のB面を下にして置く。
- ア,イの2通りの場合について、それぞれおもりを0~4個乗せ、ばねはかりを水平に静かに引き、木片が動き出す瞬間のはかりの読みF0を測定する。
- 木片とおもりの重さ(垂直抗力N)とF0の関係をグラフに描き、その傾きから、静止摩擦係数μを求める。
実験2.動摩擦力F’(等速運動時のはかりの読み)の測定
- アの場合について、おもりを0~4個乗せ、ばねはかりを水平に引き続け、木片が等速運動しているときのはかりの読みF’を測定する。
- 木片とおもりの重さ(垂直抗力N)とF'の関係をグラフに描き、その傾きから、動摩擦係数μ'を求める。
測定結果
●W[gw]:木片の重さ
●N[gw]:垂直抗力(W+おもりの重さ)
●F0[gw]:最大摩擦力
●F'[gw]:動摩擦力
実験1
おもり[個] |
0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
N[gw] |
76 |
176 |
276 |
376 |
476 |
F0[gw] |
ア |
24 |
58 |
82 |
124 |
152 |
イ |
22 |
58 |
92 |
118 |
148 |
実験2
おもり[個] |
0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
N[gw] |
76 |
176 |
276 |
376 |
476 |
F'[gw] |
ア |
20 |
48 |
76 |
98 |
132 |
処理
実験1 F0-Nグラフ |
実験2 F'-Nグラフ |
 |
 |
グラフの傾きから求めた静止摩擦係数μ
(ア) 0.32
(イ) 0.31 |
グラフの傾きから求めた動摩擦係数μ'
(ア) 0.27 |
考察
- 実験結果から、摩擦力(F0,F')と垂直抗力、および接触面積は、それぞれどんな関係にあると考えられるか。
(A) 摩擦力と垂直抗力:
最大摩擦力、動摩擦力はどちらも垂直抗力に比例している。
また、動摩擦力は、物体の速さにほとんど関係しない。
・理由:
いずれのグラフも原点を通る直線と見なせる。動摩擦力は、物体の速さが異なってもほぼ同じ測定結果になる。
(B) 摩擦力と接触面積:
摩擦力は接触面積に無関係と判断できる。
・理由:
摩擦係数は(イ)の方がわずかに小さくなったが、接触面積の差を考えると誤差の範囲であり、摩擦係数は(ア),(イ)ほぼ等しいと判断できる。
- μとμ'との大小を比較し、考察する。
動摩擦係数の方が小さいことから、運動し始めると摩擦力は小さくなることがわかる。
- 誤差の原因について考察する。
下敷きのわずかなホコリや湿り気によって、摩擦力は影響を受けやすい。そのため、測定の度に下敷きをよくふき、木片を同じ場所に置くように気を付ける。下敷きに発生する静電気は、木片を使うことで影響は少ないと考えられる。木片の面の状態が均一でないこと、木目があることも測定に影響を及ぼす。
実験プリントpdfファイル