単振り子の周期
目的
- 単振り子の周期 T が、糸の長さを L としたときになることを調べる。また、この式から、重力加速度を測定する。
準備
- スタンド、軽い糸、おもり、ものさし、ストップウォッチ
方法
実験.I 周期がで表されることを検証する。
- おもりの直径をノギスではかる。
- おもりに糸をつけ、糸の他端をスタンドに固定する。
- 白紙に垂直に直線を書き、スタンドの下部にとめる。このとき、前方から見て、おもりが最下点のときの糸と直線が重なるようにする。
- ものさしで糸の長さ L0 をはかり、その値におもりの半径 r を加えて、糸の上端からおもりの中心までの長さ L を求める。
- 単振り子の周期の式に、L、g の値を代入して理論値 T0 [s]の値を求める。(重力加速度 g = 9.80 [m/s2]とする)
- 単振り子を小さく振らせて周期をはかる。白紙に書いた直線上を、糸が一方向に通過した瞬間にストップウォッチを始動させ、10往復の時間をはかり、それを10で割って周期
T を求める。。
実験.II LとTを測定してgを求める。
- L の値を変え、それぞれn周期 T の値を求める。
- 理論式を変形するととなる。この式に L,T の値を代入して、重力加速度 を求める。
実験.III 周期1秒の単振り子をつくる。
- 周期 1秒の単振り子を作成するには、L をいくらにすればよいか、計算で求める。
- 実際に計算した L の長さで実験装置をセットした後、ストップウォッチを用いて、周期を測定してみる。
結果
実験.I
理論値の計算
糸の部分の長さ L0 |
0.688 [m] |
おもりの半径 r |
0.0127 [m] |
L = L0 + r |
0.701 [m] |
周期の理論値 |
1.680 [s] |
測定値
|
1回目 |
2回目 |
3回目 |
平均 |
周期の測定値 T |
1.680 [s] |
1.680 [s] |
1.689 [s] |
1.683 [s] |
実験.II
Lの測定
糸の部分の長さ L0 |
0.621 [m] |
おもりの半径 r |
0.0127 [m] |
L = L0 + r |
0.634 [m] |
測定値
|
1回目 |
2回目 |
3回目 |
平均 |
周期の測定値 T |
1.599 [s] |
1.596 [s] |
1.606 [s] |
1.600 [s] |
重力加速度= 9.78 [m/s2]
実験.III
周期1秒となる長さ L = gT2 / 4π2 = 0.2482 [m] よって L0 = 0.2482 - 0.0127 = 0.2355 [m]
L = 0.2482 [m] のときの周期の測定
|
1回目 |
2回目 |
3回目 |
平均 |
周期の測定値 T |
1.007 [s] |
1.002 [s] |
1.000 [s] |
1.003 [s] |
考察
- 実験I、IIについて理論値と実測値に何%の誤差があったか計算し、考察する。
実験I の相対誤差は、( 1.683 - 1.680 ) / 1.680 * 100 = + 0.18 %
実験II の相対誤差は、( 9.78 - 9.80 ) / 9.80 * 100 = - 0.20 %
誤差がかなり小さいことから、精度の高い実験であることが理解できる。おもりの速度はそれほど大きくないので、空気抵抗は影響が少ない。誤差を生じる原因として考えられるのは、糸の長さの測定、糸の伸び、糸のねじれなどである。この実験による重力加速度の測定は、比較的信頼できる値を求めることができる。
- πは何桁までとればよいか。また、g の有効数字は何桁まで考えればよいか考察する。
実験I では重力加速度を9.80(有効数字3桁)として理論値を計算しているので、πは1桁多い4桁で計算すればよい。周期の測定値はばらつきが小さく精度が高いので、実験IIの重力加速度は4桁まで求めてもよいかもしれないが、糸の長さの測定誤差を考えると3桁程度が妥当と考える。
実験プリントpdfファイル