ニ八そばを打つ
はじめに
手打ちそばは、つなげるのが難しく、失敗も多いと聞く。まずは、入門といえる二八そばを打ち、その難しさの理由やつながる原理を知ろう。
準備
そば粉
粉は、「高山製粉」さんから購入した粉を使用した。
そばのつながりの決め手は、何といっても「そば粉の質」である。「高山製粉」のそば粉は、信頼できる品で、失敗が少なく、うまく出来上がる。
今回使用したのは、「高山製粉」のそば粉の中で、入門用ともいえる「二八蕎麦粉」である。
そば粉:つなぎ粉(小麦粉)=8:2 の割合で予め混ぜてあるもので、とても便利である。
道具
そばを打つためには、「 こね鉢」、「めん棒」、「小間板」、「そば包丁」、「のし台」などのそば打ち道具が必要である。
その他、「計量カップ」、「はかり」、「ボウル大・小」、つなぎ粉を混ぜる場合は「ふるい」などを準備する。
- 「こね鉢」は、大きい方がやりやすい。写真は東急ハンズで購入した7,000円くらいのもの。大きめのステンレスのボウルでも代用できる。
- 「めん棒」は、長いものと短いものの2種類あると便利である。
- 「小間板」は、まっすぐ均一に切るためのガイドなので、代用できるものがいろいろある。(軽い木箱など)
- 「そば包丁」は、蕎麦切り包丁として専用のものがあるが、中華包丁や菜切り包丁でも代用できる。
- 「のし台」は大きい方がいい。ない場合は、テーブルをきれいにして、のし台にすることもできる。
そば打ちの手順
「水回し」
- 加水量は粉の40%~45%が目安。計量カップで正確に測っておく。(残った水で使用量がわかるため)
- 500gのそば粉に対して、一応、250ccの水を用意する。うまくいけば、水はわずかに残る。
- 加水1回目。約半分くらいの水(100cc~120cc )を中央に注ぎいれる。
- 指先を使って、螺旋を描くように丁寧に粉を混ぜ合わせる。
- 両手のひらですくい、ダマにならないようにほぐし、バラバラ、サラサラと空気をたくさん入れるようにかき混ぜる。
- 無理にまとめようとしてはいけない。水は全体に行き渡っていく。「手早く均一に」を心がける。
- 加水2回目。残った水のさらに半分くらいを入れる。粉の色は少し黒ずみ、香りもたち、粉がくっつきはじめて、粒が大きくなる。
「くくり」
- 3回目の加水で,さらに残った水の半分くらいを入れると、さらに、まとまってくる。
- 少し手でぎゅっとにぎってみる。耳たぶくらいの堅さが「くくり」の合図。
- 水が足りないようであれば、残った水を少し手にとって粉になじませ加水する。
- 互いにくっつき自然にピンポン玉くらいの固まりになったら、両手でつかんでひとつの大きな固まりにまとめる。
「練り」
- 練る前に必ず手を洗う。
- 手のひらで上からつぶし,内側に折り込んでいく。
- 100~150回くらい練る。粘り気が増し、弾力がでてくる。
- 硬いときは、手のひらに少し水をつけて練ると加水できる。
- 玉の中の空気を抜くようなイメージ 全体がしっとりツヤがでてきたら完了である。
「のし」
- 生地はどんどん乾くのでスピーディにやることが大事である。
- のし台に打ち粉をして,そば玉をおく。そば玉の上にも打ち粉をする。
- 手のひらの腹を押し当てるようにして、そば玉を回転させながら広げていく。
- 粉500gの場合、直径30cmくらいにのばし、ここから,めん棒を使う。
- 生地の表面に少し打ち粉をしながら,めん棒で広げる。
- 周辺を薄くし過ぎてつぶさないように、回転させながら、広げていく。
「角出し」
- 「角出し」は、円形の生地を四角にする作業である。生地をめん棒に巻き取って、手前に引く。
- めん棒に巻きつけたまま、半回転させて、開く。手前から巻き直して、手前に引く。
- これを3~4回繰り返したら、今度は90度回転させて開いて生地の向きを変え、巻いて手前に引く作業を3~4回繰り返す。
- この「角出し」をしているうちに、生地はだんだん四角になってくる。(といっても、なかなか難しい。)
- だいたい四角になったら、のし台の斜め上から広げ、めん棒を使って、薄く均一に伸ばす。
「たたみ」
- 打ち粉を多めにふる。
- 包丁の幅を考えて、一気に切れる幅にたたむ。(そばの長さはたたみの幅で決まる。)
- めん棒に少し生地の端を巻きつけて生地を重ねる。 生地どうしがくっつかないように、折りたたむたびに十分打ち粉をする。
- 2つに折り、さらに3つ折りくらいがいい。 6枚重なっている。
「切り」
- まな板に、やや多めに打ち粉をふり、その上に折った生地をのせ、こま板を軽くのせて切っていく。
- 包丁をまっすぐ小間板にあて、少し前に押し出すように切る。
- 一定の太さに切るのは難しい。切り終えたそば 十分打ち粉をしておく。
「ゆで」
- 強い火力、たっぷりのお湯でゆでる。
- ゆでる前に、打ち粉をできるだけ払い落とし、沸騰した湯に、バラバラとほぐしながらそばを入れる。
- 湯の中で、そばをよく泳がせる。時間は、60秒から90秒くらい(太さによってちがう)。
- ゆであがったら、素早くすくいあげ、冷たい流水にさらして洗う。
- ぬめりがなくなるまで洗い、たっぷりの水の中で1本1本ほぐれるように泳がす。
- よく、水切りしてから盛り付ける。
食べる
- 打ちたてのそばは、香りがいい。
- 自家製のそばつゆ、ネギとわさび、てんぷらもあると最高である。
- コシがあり、香り高いおいしいそばは、苦労の甲斐あり。
【考察】
道具:
- こね鉢は、7000円くらいで購入した樹脂製のもの。ボールや洗面器のようなものでも代用できるが、大きい方がやりやすい。
- のし台は大きい方がいい。ない場合は、テーブルを消毒して使えば大丈夫である。
- のし棒は、長いものと短いものの2種類あると便利である。
- 包丁は、専用のものでなくても大丈夫。
- こま板(そばを切るとき当てる板)は、代用できるものがいろいろある。要するにまっすぐ均一に切るためのガイドである。
粉:
- ここで使用したそば粉は、最初から二八に混ぜてあり、失敗が少ない。自分でつなぎ粉を混ぜた場合は、均一になりにくく、その結果つながりが悪くなる。
- 十割そばも魅力があるが、腰があり、細くつるっとしたのど越しを求めるなら二八そばである。
- 旅先のお土産屋で売っているそば粉は、水分量・グルテンの量など質がかなり異なるらしい。よって、水加減が一定ではない(230cc~270cc)。上手にそばを打つ秘訣のひとつは、いつも同じ粉を使うことである。
失敗の原因:
- ○加水が足りない場合、粉が古い場合
- ・練りでまとまりにくい。
・のしでひび割れ、バサバサになる。
・たたむと折れる。
・ゆでると短く切れる。
- ○加水が多すぎると
- ・あまり練らなくてもまとまってしまい、たよりない玉になる。
・のしでどこまでものびる。薄くなりすぎ、台にくっつく。
・たたむと生地どうしがくっつく。切ると包丁にくっつく。
・ゆでると溶けてドロドロになる。
- ○のしに時間をかけすぎると
- ・乾燥してひび割れる。
そばつゆ:
- 本格的に「そばつゆ」を作ると、何日もかかる(本格レシピによれば)。しかし、間単に20分で作っても、自家製の方が市販のつゆよりおいしい・・・と思う。
- カツオだし、醤油、みりん、酒、砂糖で20分もあればできる。(他サイトのレシピをご覧ください)